あれから12年…


 今日で阪神・淡路大震災から12年…当時、北海道のお寺の職員だった僕は、函館から夜行列車を乗り継いで、ボランティアスタッフとして2週間、支援活動に参加した。ボーイスカウト活動の指導員資格を持っていたので、被災地の子どものケアーと復旧に従事した。瓦礫の中から井戸を見つけ、必要最低限の飲み水を確保することに成功した時…溢れる水道の蛇口に手を合わせ拝む高齢者の姿があった。眠る暇なく炊き出しや、救護、父母とはぐれ、途方にくれている子ども達を収容している倒壊した寺院のプレハブで支援活動に明け暮れた。無数の避難所を歩き情報を収集し、やっとのことで出会えた母は棺に眠っていた。やり場のない、慰めようのない哀しみにその子と抱き合って泣きじゃくるしかできなかった…何にも出来ない自分との葛藤…自分の納得する活動も果たせないまま、支援期間を終えた僕は函館に戻った。あれから12年…別れ際、笑顔で瓦礫の上に立って、手を振るあの子の姿が忘れられない…